恐怖の悪霊 (後編)

怪談

Tの部屋は狭い4畳半で絨毯が敷いてある

ベットの方はというと狭い子供部屋にありがちなロフト式で下にデスクや収納や棚、上がベットになっている

夜に仕事をしている人はとにかく寝れる時に寝るのが基本だ

昼を超えてから寝ようとして万一寝れなくなると普通の人達と同じように出勤時間の夜に眠くなってしまうからだ

(はあ・・・睡眠不足が続いて眠いけど また貞子出てくんのかな~?すげー嫌やな~)

(そうだ!まず盛り塩だ)

キッチンにあった小皿2枚に塩を盛って三角に固めた

それを梯子を登ってベットの頭の両端に一つずつ置いた

オーナーの俺は部屋の入口のイメージだったのだがTは自分に超近い所に置いたのだ

本能的に貞子出現した場合に備えて身体に接近されないようにする方を思考したのだろう

(これ本当に効くんか?もし本当に効いたらオーナー様々だな)

嫌な予感がしつつ寝床につく

(はあ・・眠い・・・とにかくぐっすり眠りたい)

睡眠不足が続いてるせいで秒で寝落ちするT

すると・・・

ガチャーーン!!

(はっ!?)

びっくりして飛び起きるT

インテリアとして壁に掛けてあったコカコーラのパブミラーが留め具が外れて落ちていた

ガラス部分が割れてしまっていたが眠くてしょうがないTはそんな事はどうでも良かった

(・・・貞子の仕業か??)

寝ぼけ眼で部屋を見渡すT

(・・・とりあえずいないな・・良かった)

(イヤ、所詮夢だから現実にはいないのが当たり前か)

しかしTはあまり気にする余裕もなくまたすぐに眠りについた

どの位時が経っただろうか

突然

ガッ!!

両足を誰かにつかまれた感覚が走った

(!?)

しかも全身が金縛りで動けない

そこで思い出したのだ

そうだ!俺は毎日金縛りにあっていたんだ!!

金縛りには2種類あるという

その違いはただ1つ

目を開けれるか開けれないかだ

Tは後者だった

足元の向こうにはこの世のものとは思えない恐ろしい顔をした上半身だけの貞子(注:もちろん貞子ではない)が

長い髪を振り乱しながらTの両足首をつかみベットの下へ引きずり落そうと恐ろしい力で引っ張っていく

ズズッ

ズズッ

身体が自分の足の方角へどんどん引きずれられていく


『うっうわーーーー!!』

(そっそうだ!おっお経!)


『ナムアミダブツ!ナムアミダブツ!!』

『ゔ!』

『・・ナンミョウホウレンゲキョ!ナンミョウホウレンゲーキョウ!!』

発音はめちゃくちゃだがとにかくでかい声で叫び続けた

すると

『ゔぁぁーーーーー!!』

貞子がこれまたこの世の物とは思えない気持ち悪い声を発しながら消えていったのだ

『はあ・はあ・・はあ』

(消えた? 効いた??)

恐る恐る部屋を見渡したがどうやらいなくなったようだ

汗がびっしょりだった

(そうだ防御や!寝る前にまず防御からや)

(よし!キッチンにもヤツはいねーな)

盛塩を足元に2か所増やし、計4か所のまるで魔法陣のような体制をとった

その後Tは泥のように眠った

ジリリリーーン!!


『うあーーーー!!』

夕方目覚ましの音で飛び起きた

まだ完全に恐怖が消し去っていなかったからだ

恐る恐る部屋を見渡すが誰もいない

(そうだ割れたミラーガラスを片付けなきゃ)


(!?)

そこでTは恐ろしい光景を目にした

なんとベットの足元側の真下の絨毯に幾つもの割れた長めのガラスが天井方向に立ててセットされていたのだ!!

(まっまぢか! アイツ俺をここに落とそうとしてやがったのか)

(めっちゃこええよ)

(すぐにオーナーのところに電話しなきゃ)

電話を受けとった俺はすぐに知り合いのお寺の住職に電話でお願いして大至急Tにお祓いをさせた

翌日貞子は現れなかったそうだ

何が原因で現れたのか何が効いて現れなくなったのかは未だ不明だがとにかくTの前に貞子もどきは二度と現れなくなったらしい

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